リスキーな頭脳

蜷川幸雄さんが亡くなって、日本演劇の巨星が墜ちた、と報道されています。「巨星墜ちる」という表現は、子供の頃、ピカソが死んだときに新聞の一面に大見出しで書いてありました。人のことを星に例え、しかも墜ちるのだから、彗星が地球に衝突するようなものだろうと思いました。
確かに、演劇界にとっては星だったでしょう。私のような現代演劇を知らない者でも、シェイクスピアの「マクベス」や「十二夜」など、斬新な舞台が印象に残っているのですから。ともかくチャレンジャーでしたね。とくに後年、素人のしかも高齢者を集めての演劇、ということに驚きました。
いつも、これまでの実績を捨てて0からスタートする試みは、リスキーとしか言えません。でも、そうしてしまうのが、天才の天才たる所以なのでしょう。ピカソにしても、次々に新しいスタイルを創りあげていく。それは、苦しいことでしょう。これまでの実績が役に立たないから。
またそれが、人を惹きつけるでしょう。リスキーなことに挑戦していく人生って、誰でも簡単にできることじゃないから、だから巨星なのですね。頭脳がそれを求めているのでしょう。同じことを拒否する、新しいものを求める頭脳。大変な人生だったでしょうね。
これからは安らかに、お休みになれるでしょうか。イライラを抑える薬に、市販はありますか?